春、美容の話題も花盛りで、「シミ、シワ、毛穴、たるみの肌トラブル解決法」などといううたい文句をよく目にする。誰もが抱えるトラブルの代表格がシミ、シワ、毛穴等々ということだろうが、どうも違和感を禁じえないのは、「肌トラブル」という言葉である。シワや毛穴というのは、「肌トラブル」なのだろうか。老化は、自然現象であって、トラブルではない。例えば、25歳で生理がこなくなれば婦人科トラブルだけれども、55歳でこなくなってもトラブルではない。同様に、30代で耳が遠くなれば耳鼻科系のトラブルだし、検査などが必要になるけれども、70代で耳が遠くなっても、それは普通のことだろう。では、シワはどうだろう。20代ころから顔にシワができるのは、トラブルなのだろうか。程度の差はあれ20代半ばになれば、シワの兆候くらい出てもおかしくはない。それを「トラブル」扱いするのは、閉経を婦人科トラブルだと言っているようなものである。トラブルとは、そもそも、「本来あるべきでない状態」のことを指す。27歳で多少のシワがあっても、それは本来あるべき状態だし、それを消そうとすることは、「あるべきでない状態」を作ろうとすることになる。「老化に逆らうこと」が無駄だとか悪いとか言うつもりはない。今はそれができる時代であるし、大いに逆らってよいだろう。ただ、老化に逆らうことと、トラブルを解決することは一八〇度違う。老化に逆らうのは、「本来あるべきでない状態」を作る行為だからである。たるみも同様で、トラブルとは言えない。シワやたるみをトラブルと言ってしまうと、50代以降の人はみなトラブルだらけ。つまりみんな「本来あるべきでない」顔ということになってしまう。それもひどい話である。
[参考]
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